公開当時、映画界だけでなく音楽界、中でもジム・オルーク楽曲起用でシカゴ音響派界隈でも話題になっていた青山真治監督の『EUREKA』。
当時のわたしは"eureka!"という同じ名前の音楽ユニットをやっていましたし、何よりジム・オルークの音が大好きですし、本作品は超絶気になってはいました。
けれどいろいろあって、その音楽ユニットを休止することになり、この映画作品とは全く関係ないというのに、同じ名前というだけで本作品を見る気力や体力がありませんでした。どちらかというと避けていたかもしれません。
そして先日、新宿テアトルでリバイバル上映があると聞いて、青山監督の本『宝ヶ池の沈まぬ亀: ある映画作家の日記2016‐2020』をジャケ買いし、諸々の予定をすっ飛ばして劇場へ。
3時間半の長編。
なんでしょう、この時間の流れは。
佇まいとか視線とか角度とかそういう非言語情報が適切に豊かなので、中弛みすることはなく完走しました。
最後の最後に流れるジム・オルークのEUREKA。音楽だけはずっと前から聴いていて、あの歪んだホーンアレンジにめちゃくちゃ影響を受けていました。
20年を経て、やっと映画の中で音楽を聴くことができ「嗚呼、こういうことなんだ!」と深く感激しました。
先にサントラを聴きこみ、そして映画を見る。
サントラの聴き方としては、最も充実し幸福度の高い聴き方のひとつだと私は確信しています。
とはいうものの、あれから20年も経つとは・・・
追記:
『宝ヶ池の沈まぬ亀: ある映画作家の日記2016‐2020』によると、EUREKAの第一ショットで見ることができる耳納連山という山について、”夏目漱石は久留米東南の高良山に登り、耳納連山を越えて眼下に広がる筑後の田野を一望した”と記載されているのを読み、なぜだか深い納得感に包まれました。