以前、ショートムービーに音楽をつけたことはありましたが、中編映画へのサントラ制作は初めて。
去年の夏ごろから制作~ミックス・マスタリングをコツコツと。
そして先日、3月22日に川崎アートセンター アルテリオ映像館で、初号お披露目会で初めて劇場で自分の作ったサウンドトラックを聴きました。
もう、この日をどれだけ待っていたか・・・とにかく早く大音量で聴きたかった。
作った音楽には自信はあったのですが、ミックスとマスタリングについては正直なところ不安でした。自宅のミックス環境は、スタジオではないので良くありません。
しかしながら、無謀な勇者でありたい私は、いきなりマックス・リヒターばりの可聴帯域ギリギリのサブソニック(重低音)を忌憚なく加えていくような音作りを敢行。
要は、耳ではなく座席に振動する低音を感じてほしいという。特にエンドロールでは、映画の余韻を耳だけでなく座席の振動で’支えたい’意図がありました。
最近では、韓国映画『はちどり』が同様のアプローチをしています。
『はちどり』も『ぼくときみとそして死と』と同じく、繊細なテーマ、繊細な絵作りの作品ですが、あれも劇場の大音量で体験するべき映画だと思います。その構造を今回適用させたかったのです。あまり邦画ではみないアプローチ方法ですし、海外にも出品することを考えて理想は高く、面白く。
自宅でのモニター環境では正直、どのように響くのか手探り状態。理想と現実(自分の経験値や環境)には大きな隔たりがあるのですが、やるなら思い切りやる。十分考えた上で常にアグレッシブな選択肢を選ぼう、という気概だけで取り組んで参りました。
それでも上映会前試写の最後、少し怯む気持ちが起こり「エンドロール、音量大丈夫かな・・・?もっと下げたほうが良いですか?」と監督に聞いてみたら、「全く問題ありません。これがいいです。これで行きましょう!」と背中を押してくださいました。
いつも「音量をもう少し下げてください」という指示が多かった監督ですが、こと音楽に関しては私以上にアグレッシブなミックス指示で、とても楽しかったです!