映画『Ennio, The Maestro』(映画が恋した音楽家)
少なくとも自分の周りでは
モリコーネをなんとも思わない音楽家は皆無だった。
特にモリコーネは神と言っても過言ではないくらい、私の周辺は敬愛している人が多かった。
「モリコーネ好きなんです」
というだけで、なんか通じ合う気がしてもいた。
イタリアには多くの名映画音楽家がいる。
エンニオ・モリコーネを筆頭に、ピッチオーニ、ウミリアーニ、ニーノ・ロータ…
今聴いても素晴らしい技法と美しい旋律、挑戦的なリズム。
現代音楽家としての活動も重要視していたり、昔トランペッターだったこと、実はこの作品は違う映画に作っていたが…など、余すとこなくモリコーネを深掘りした作品だった。
「ニューシネマパラダイス」のトルナトーレ監督によるドキュメンタリー作品。
シネパラはラストエンペラーと同じくらい好きな作品なんですが、モリコーネの音楽無くして大ヒットは無かったと思う作品でもあります。それほど、映像と音楽が素晴らしく融合して心に響く作品もないと思う。
実際、モリコーネも「この作品は心から楽しく取り組んだ」と言っている。
好きな曲に「Metti, una sera a cena」(ある夕食のテーブル)があるのですが、この対位法が本当に好きで。
声から楽器、楽器から声。その配置、そして変動と不動。
洒落っ気のあるアレンジだけど、しっかりバッハしてる。あ、あとミックスも面白いんですよね、これ。
後にも先にもこんな人出てくるのかわからないくらいの功績を残したモリコーネ。
映画界は遅すぎるほど遅い認識で名誉賞を授与してましたけど、映画と音楽には素晴らしい融合があるように、大きな‘不可解な’溝もあるとも思っています。
モリコーネですら、それを生涯抱えていたのですから。
本作品にはパット・メセニー、メタリカ、クィンシージョーンズなどの音楽家のインタビューがありまして、特にパット・メセニーのpure of the pureなモリコーネ愛にグッときました(メセニーのお目目がキラキラしてた!)
そして、現代の映画音楽の大家ハンス・ジマーのギラギラ感がすごかった!!